SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術 -その2- 映画は10個のジャンルに分類出来る
昨日SAVE THE CATについて書きましたが、その続きを書きます。
昨日の内容はこちら。
どの映画に1番似ている?
1. 家の中のモンスター
概要:家とは箱のこと。逃げ場のない空間で事件が起きる。原因は人間の貪欲さだったり汚い欲求なことが多い。結果としてモンスターが生まれてしまう。「危ない...!奴に食われるな!」という原始的なルール。スリラーや洋画のホラーものに多い印象。上記でも書いたシャマラン監督のスプリットも家の中のモンスターだと考えられる。
2. 金の羊毛
概要:主人公は何かを求めて旅に出るが、最終的に発見するのは別のモノ(=自分自身)。主人公は旅の途中で人々と出会い、様々な経験を通して、成長する。夜は短し歩けよ乙女もこのジャンルに入るだろう。
例:スターウォーズ、オズの魔法使い、バック・トゥ・ザ・フューチャー
3. 魔法のランプ
概要:主人公はシンデレラのようにひどい扱いを受けていることが多く、だからこそ主人公の願いが叶い、幸せになってくれることを願う。けれど人間の性として、どんなに合われで同情できる主人公であっても、成功し続けると鼻についてくる。だから主人公は最終的に普通の人間でいるのが1番だと気がつく。そして、最後には「1番大切なものは、道徳に合った行いをすることだ」という教訓が用意されている。
例:ライアーライアー、フラバー
4. 難題に直面した平凡な奴
概要:どこにでもいそうおな奴が、とんでもない状況に巻き込まれる。つまり、観客が自分にも起こりうると観客が思うストーリーの1つなのだ。このジャンルは2つの単純な要素で成り立っている。1つは主人公が観客と同じ普通の人間であること。もう1つは、そんな普通の人間が勇気を振り絞って、解決しなければならない問題に直面したということ。
例:ダイハード、タイタニック
5. 人生の節目
概要:コメディーであれ、シリアスなドラマであれ、モンスターや問題が主人公に忍び寄り、主人公はその正体に徐々に気が付き、受け入れることによって、最後に勝利を収める。そして「人生ってこういうものだ!」という教訓を得る。
例:テン、普通の人々
6. バディとの友情
概要:恋愛映画、友情映画にはこれが当てはまる。最初バディはお互いを嫌っているが、旅をしていくうちに相手の存在が必要で、2人で揃って初めて1つの完結した存在になることが分かる。終末近くには、バディとの喧嘩になり「あばよ!」となる。ただしこれは本当の別れではなく、お互いなくして生きていけないこと、お互いエゴを捨てて仲良くするしかないことを最終確認するためのきっかけなのだ。そして最後の幕が降りる時、2人は覚悟を決めるのである。バケモノの子もこの部類かな?
7. 馬鹿の勝利
概要:負け犬のバカに対してもっと大きくて権力の悪者が存在する。ところがそんなバカが悪者側をやきもきさせるのを見ると、観客にも何だか希望がわいてくる。
例:チャンス、フォレスト・ガンプ、天国から落ちた男
8. 組織の中で
概要:人間は1人では生きていけない。けれど集団になると、多数派の目的を叶えるために、少数派の目的は犠牲になることもある。一長一短なのだ。組織の中では、集団や組織、施設についてのストーリーを扱うジャンルである。主人公は自分の属す組織に誇りを感じる一方で、組織の一員として生きるために自分らしさやアイデンティティーを失うという問題も抱えている。
例:アニマル・ハウス、ゴッドファーザー
9. スーパーヒーロー
概要:「難題に直面した平凡な奴」の対極にあり、正反対の定義が当てはまる。超人的な力を持つ主人公が、ありきたりで平凡な状況に置かれるのだ。小人の国リリパットにガリバーが漂流する「ガリバー旅行記」がいい例だろう。主人公は超人的な能力を持つが、人間らしさも持っている。だから読者は共感出来る。そして小人と向き合うことがどんなに大変かも理解出来る。天才肌の連中やティーンエージャーが、スーパーヒーローの気持ちが良くわかるからだ。
10. なぜやったのか?
概要:人間の心の中には邪悪なものがある。誰でも知っていることだ。貪欲さが高じれば殺人が起きる。まさに目に見えない邪悪なもののせいだ。そういう場合、興味深いのは誰がやったのか?よりもなぜやったのか?である。「羊の羊毛」とは違って、なぜやったのか?は主人公の変化を描くものではない。犯罪が事件として明るみに出たとき、その背後になる想像すらしなかったような人間の邪悪な性が暴かれるというジャンル。
例:チャイナタウン、インサイダー