※ネタバレあり「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の原作と映画の違い

 昨日見た「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」。原作ファンからの酷評が気になったので、早速huluで原作を見た。簡単に感想を書いてみる。

 ※ネタバレありです。

※映画の感想はこちら。

entm77.hatenablog.com

 

※原作はこちら。

tochisagashi-kotsu.net

 

原作との違い

 原作との違いを書き出してみた。

  • 前提の違い
  • 設定の違い
  • 尺の違い
  • STORYの違い
  • 時代による改変部分
  • 心理描写の量の違い

 

基礎的な部分の違い

 原作は実写ドラマ。映画はアニメ。まあこれは当たり前の話

 

設定の違い

 原作は小学6年生。アニメは中学1年生。まあ、これは変えた方が良かったと思う。実写の場合、実際に12歳前後の子供が演じていた。だから、特に違和感はない。しかし、アニメの場合、小学生を描くと子供感が強く、ターゲットである30代の層が共感しにくくなるのだろう。広くユーザーを獲得する上では仕方のない選択だと思う。

 

尺の違い

 原作は約50分。映画は約90分。これは映画化する上では仕方のないこと。

 

STORYの違い

  • 原作はタイムリープは1回のみ。映画は3回。
  • 原作はタイムリープ方法は描かれていない。映画は"もしも球"。
  • 原作は小学生が故に主人公は飾らずストレート。映画はなよなよしている中学生。これは現代でウケる主人公像だと思うが、原作ファンからは受け入れられなそう。
  • 原作はナズナの親が出てこない。そのため、家出の動機は隠していた。
  • 原作は電車に乗らない。映画は実際に電車で遠くへ向かう。
  • そもそも映画では電車に乗るシーンで2回目のタイムリープが行われる。そのため、2回目のタイムリープは原作と全くの別物と考えて良い。しかし、原作で夜のプールに入るシーンに寄せた海に入るシーンは映画には存在する。見た目は似たものだが、観客の感情は全く別物。まず、夜の学校のプールへの侵入は王道だが、身近に感じ、青春要素が強い。しかし、夜の海はあまり入りたいとは思ったことがない。このあたりの心情ギャップが「儚い青春の物語がファンタジーになってしまった」と揶揄されることに繋がってしまったのではないか。

 

時代による改変部分。

  • 原作はナズナと逃げる時は、走り+バス。映画は自転車。ここは大きな問題はなさそう。
  • 色気の追加。下着のシーン、先生の胸へのいじり。ナズナの「ビッチ」発言、海の中でのキス。初めて見る人には問題ないが、「俺の思い出の青春譚を汚しやがって」という人は一定数いる模様。
  • 逆に「観月ありさ〜!!」が変わっていなかったのは良かった

 

心理描写量の違い

  • これはかなり驚いたが、短い原作の方が子どもたちの行動の理由をきちんと示している。例えば、祐介がナズナとの予定をすっぽかすシーンや典道がプールでナズナと話すシーン。原作ではどストレートに伝えているが、映画ではオブラートに包んだ感じ。原作の方が分かりやすかった。
  • 一方、映画は徹底的にナズナを深ぼることに振り切っている。原作よりも大人びた印象が強いが、実際に映画の方がナズナに魅力は感じられた。

 

 こんな感じですかね。私自身は世間で酷評されているように、映画化しない方が良かったとは全く思わない。原作を知らない人からすると、良いものに作り上げられていると感じた。ただ、ミステリー好き、伏線回収が楽しめる人間が作っている感は出ているので、「君の名は。」を想像して来た人には合わなかったのかもしれない。