Horizon Zero Dawnのシナリオで狂気的天才を見た。
私は「狂気的天才モノ」 の作品が好きだ。主人公が1つのことに圧倒的にのめり込み、死ぬ覚悟で努力をし、成長していく作品だ。漫画で言うと「メジャー」「BLUE GIANT」、映画で言うと「セッション」が当てはまる。
狂気的天才モノの何が良いかと聞かれれば、見た後にエネルギーを貰えることだ。この手の作品は、そもそも才能がある人間が、他者を圧倒する努力をアタリマエのようにやってのける。もちろん、そこには友との別れ、どうしようもない怪我など困難がたくさん振ってくる。それをボロボロになりながらも信念の強さで打ち破っていくのだ。狂気的天才モノでは、「尋常ではない信念の強さ」というプラス要素、「圧倒的な困難」というマイナス要素の差が大きければ大きいほど、心動かされる。メジャーで言うとvs海堂戦。セッションで言うと、血まみれになりながらドラムを叩き続けるシーン。
この狂気的天才モノはゲームで実現することは難しい。なぜなら、人間は自分が想像出来る信念しか測ることが出来ないからだと思う。例えば、「なんとしてでも甲子園に行きたい」という気持ちは身近であり、なんとなく想像がつく。そして、共感もしやすい。でも「ボスを倒す」は身近ではなく、想像がしにくい。その結果、ボスを倒す事自体には心を動かされることは少ない。
つまり、ゲームに多いファンタジー世界において、信念の強さというものは測りにくいモノで、共感しにくいものなのだ。スポ根に狂気的天才モノが多い理由も同じである。
しかし、本作でその常識を覆された。それは「人への愛」というものだった。ここで言う愛は恋人への気持ちではなく、親を思う気持ちのことを指す。
本作の主人公であるアーロイは母親のことを知らない。しかし、自分のルーツを知る上で母親を知りたい気持ちが抑えられなくなった幼きアーロイ。彼女は村の試練を乗り越えると願いを叶えてくれることを知る。そこから育ての親と一緒に来る日も来る日も特訓を重ね、遂に試練を迎える。
まずは、母親という人を知りたいという人に対しての思い。これは誰もが共感しやすい部分である。そして、母親がいないアーロイは「異端者」と呼ばれ、周りからいじめられたり、無視され続けたりする日々を生まれてからずっと過ごす。これが困難である。そして、母親を知るために、来る日も来る日も重ねた訓練。本作が上手いな、と思ったのは、オープニングシーンを幼少期でプレイさせ、その後に日々の大きくなるまでの毎日の鍛錬シーンをムービーで流し、その後からは大きくなったアーロンを操作するという仕様だ。これにより、なぜか辛い体験というモノの想像がどんどん広がっていった。そして、その困難があっても絶対に曲げない自分の屈強な信念。
つまり、本作は「人に対しての屈強な信念」というプラス要素と「圧倒的な困難」というマイナス要素の幅が非常に大きなゲームなのだ。そこに我々が想像しやすい、会ったことがない家族を探す、恩師との別れなど人への思いに対する共感要素がたっぷり詰め込まれている。その結果、狂気的天才モノのような良さが出ているゲームなのだと思う。
【ゲームメモ】エルシャダイ
特徴
- 世界観
神話を追求した世界観 - デザイン
キャラクターデザイン、マップデザインを含めて独特のデザインで描かれている。フックになる差別化されたデザイン - 明言
「そんな装備で大丈夫か?」 - ゲーム画面にUIなし
ゲージなし。レベルなし。全てを演出で表現している。
これによって、世界にのめり込みやすくなっている。 - 音楽
世界観に合った良い音楽だと思う。 - ゲームデザイン
武器の浄化システムが本作のキモ。武器の浄化は下記2点の特徴を持つ。
- 武器の威力アップ
浄化とは、剣で言うと、錆びついた剣を研ぐ作業。
これがアクション要素を単純にさせない仕組みになっている - 敵の武器を奪う
敵の武器を奪って、浄化する。
その結果、自分の武器になる。
武器の種類は3種類。3すくみ。
武器によって戦い方、敵へのダメージが大きく変わる。
「次の敵はこいつだから、ここでこの武器を奪って...」と遊べる。
カービィのコピー能力と同じ。
世界観も通っているし、システムとしても面白い。
感想
神話を追求すると、ちょっとコアよりになってしまう印象を受けた。ファンタジーはマスに愛されるが、神の要素が強いと宗教感が出てしまうからか。その点、オーディンスフィアの北欧神話はよく出来ていると思う。
※ネタバレあり『ダンケルク』感想・考察
9/9(土)公開のダンケルクのネタバレ・感想。監督は「インセプション」「インターステラー」などで有名なクリストファー・ノーラン。ノーラン好きな私は、公開初日に足早に劇場へと向かった。
映画鑑賞前の印象まとめ
- 実際の出来事を映画化している
- 戦争で追い詰められた40万人のうち、33万人を救ったダンケルク作戦
- 監督がクリストファー・ノーラン
- 監督だけで見に行くことを決める
- ノーラン監督には珍しいドキュメンタリーテイストの映画
- ノーラン監督は、CGやデジタルカメラを極端に嫌う
- 実際、過去作品もインセプション以外はCGはほとんど使用していない
- インセプションでも出来る限り、実写で撮影した
- 例えば、電車が街を走るシーンは実際に電車に車輪を付けて町中を走らせて撮影した
- 今回も戦闘機を調達し、映画用に改造した
- 上記より、戦闘の緊迫感や迫力が期待出来る
概要
「ダークナイト」「インターステラー」のクリストファー・ノーラン監督が、初めて実話をもとに描く戦争映画。史上最大の救出作戦と言われる「ダイナモ作戦」が展開された、第2次世界大戦のダンケルクの戦いを描く。ポーランドを侵攻し、そこから北フランスまで勢力を広げたドイツ軍は、戦車や航空機といった新兵器を用いた電撃的な戦いで英仏連合軍をフランス北部のダンケルクへと追い詰めていく。この事態に危機感を抱いたイギリス首相のチャーチルは、ダンケルクに取り残された兵士40万人の救出を命じ、1940年5月26日、軍艦はもとより、民間の船舶も総動員したダイナモ作戦が発動。戦局は奇跡的な展開を迎えることとなる。出演は、今作が映画デビュー作となる新人のフィオン・ホワイトヘッドのほか、ノーラン作品常連のトム・ハーディやキリアン・マーフィ、「ブリッジ・オブ・スパイ」でアカデミー助演男優賞を受賞したマーク・ライランス、ケネス・ブラナー、「ワン・ダイレクション」のハリー・スタイルズらが顔をそろえている。
監督・脚本
※以下ネタバレを含みます。お気を付けください。
ログライン
「絶体絶命の地「ダンケルク」、残り時間わずか。それでも諦めずに生き抜け。」
危機的状況。それでも生き抜く必要がある。これがSAVE THE CATで言う皮肉。そしてダンケルクからどうやって生き延びるの?というイメージの広がり。
ジャンル
「難題に直面した平凡の奴」
どこにでもいそうおな奴が、とんでもない状況に巻き込まれる。つまり、観客が自分にも起こりうると観客が思うストーリーの1つなのだ。このジャンルは2つの単純な要素で成り立っている。1つは主人公が観客と同じ普通の人間であること。もう1つは、そんな普通の人間が勇気を振り絞って、解決しなければならない問題に直面したということ。
自分よりも若い18歳ほどの人間たちが攻撃から生き延びる。しかもそれを救う人々も一般人。構造はタイタニックと同じ部類。
脚本サマリー
1. オープニングイメージ
町中にいるだけで銃で撃たれるシーンから。イギリス人と言うと、撃つのを辞める狙撃手。1分ほどだったが、これだけで「戦争中」「イギリス人の視点」「生き延びるのが過酷」という前提を理解することが出来た。
2. 本作のサマリ
「本作は3つの視点で描かれる。」とナレーションで映画の構造を説明。
- 防波堤:1週間の出来事
- 海:1日の出来事
- 空:1時間の出来事
本作は、異なる時間軸の3つの視点が目まぐるしく入れ替わり進む。そして、時間軸はラストシーンに全てが終わるように構成されている。つまり、防波堤はどんどん時間が進み、空のシーンは1時間をゆっくり描いている。そして、どんどんクロスオーバーしていく。
3. 本作のゴール提示
感想
GOODポイント
1. ド迫力。そして緊張感。
徐々に自分に近づいてくる冒頭の空爆シーン。音も、映像も迫力が凄い。ただ、これは映画館じゃないと絶対に感じられないと思う。私は4DXで鑑賞したのだが良かった。自分の後ろから爆撃の音が聞こえ、本当にその場にいるかのような体感が出来た。
本作を鑑賞予定の方は、是非映画館で見ることをおすすめします!!映画館でこそ、本作の良さを実感出来ると思います!
2. 音・おと・OTO
劇中常に耳にする「チクチク」という音。この音がどんどん早まっていく時に得られる緊張感。素晴らしいです。
3. リアルな戦争体験
1、2にも近いが、次々に襲い来る空爆。戦闘機からの攻撃。壊される船。船から脱出し、海を泳ぐ人々。そして次の船に乗り込む。その船にも襲い来る攻撃。そして、また沈没する船...。これが繰り返される。残酷な世界で見ているのが辛い。でも戦争のリアルを教えてもらった気がする。
イマイチポイント
1. 群像劇
本作に明確な主人公はいないので、主人公に感情移入したい!ってヒトには向かないかもです。ちなみに僕は、ハクソーリッジのように1人に感情移入した方が楽しめる人間です。
群像劇にした理由は、40万人が主人公であるという事実を元にした作品であること、ダンケルクの戦いを体感しやすいようにした結果だと思います。
また、群像劇作品であるが故に下記特徴もあります。
上記を受け入れられるかどうかで本作のおすすめ度は変わると思います。
という感じです。
本作鑑賞で一点の後悔がある。
「途中で寝てしまった...」
いや、レイトショーで見たということもありますが、中々ゆっくり進むので割と眠かったです。みなさんは日中の目がぱっちりした時間に見てくださいね。
おすすめ度
3.1 / 5(ラストで寝たため、感動があまりない)
ダンケルク見たヒト、感動ポイント教えてください...!コメントください!
※ネタバレあり「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の原作と映画の違い
昨日見た「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」。原作ファンからの酷評が気になったので、早速huluで原作を見た。簡単に感想を書いてみる。
※ネタバレありです。
※映画の感想はこちら。
※原作はこちら。
原作との違い
原作との違いを書き出してみた。
- 前提の違い
- 設定の違い
- 尺の違い
- STORYの違い
- 時代による改変部分
- 心理描写の量の違い
基礎的な部分の違い
原作は実写ドラマ。映画はアニメ。まあこれは当たり前の話
設定の違い
原作は小学6年生。アニメは中学1年生。まあ、これは変えた方が良かったと思う。実写の場合、実際に12歳前後の子供が演じていた。だから、特に違和感はない。しかし、アニメの場合、小学生を描くと子供感が強く、ターゲットである30代の層が共感しにくくなるのだろう。広くユーザーを獲得する上では仕方のない選択だと思う。
尺の違い
原作は約50分。映画は約90分。これは映画化する上では仕方のないこと。
STORYの違い
- 原作はタイムリープは1回のみ。映画は3回。
- 原作はタイムリープ方法は描かれていない。映画は"もしも球"。
- 原作は小学生が故に主人公は飾らずストレート。映画はなよなよしている中学生。これは現代でウケる主人公像だと思うが、原作ファンからは受け入れられなそう。
- 原作はナズナの親が出てこない。そのため、家出の動機は隠していた。
- 原作は電車に乗らない。映画は実際に電車で遠くへ向かう。
- そもそも映画では電車に乗るシーンで2回目のタイムリープが行われる。そのため、2回目のタイムリープは原作と全くの別物と考えて良い。しかし、原作で夜のプールに入るシーンに寄せた海に入るシーンは映画には存在する。見た目は似たものだが、観客の感情は全く別物。まず、夜の学校のプールへの侵入は王道だが、身近に感じ、青春要素が強い。しかし、夜の海はあまり入りたいとは思ったことがない。このあたりの心情ギャップが「儚い青春の物語がファンタジーになってしまった」と揶揄されることに繋がってしまったのではないか。
時代による改変部分。
- 原作はナズナと逃げる時は、走り+バス。映画は自転車。ここは大きな問題はなさそう。
- 色気の追加。下着のシーン、先生の胸へのいじり。ナズナの「ビッチ」発言、海の中でのキス。初めて見る人には問題ないが、「俺の思い出の青春譚を汚しやがって」という人は一定数いる模様。
- 逆に「観月ありさ〜!!」が変わっていなかったのは良かった
心理描写量の違い
- これはかなり驚いたが、短い原作の方が子どもたちの行動の理由をきちんと示している。例えば、祐介がナズナとの予定をすっぽかすシーンや典道がプールでナズナと話すシーン。原作ではどストレートに伝えているが、映画ではオブラートに包んだ感じ。原作の方が分かりやすかった。
- 一方、映画は徹底的にナズナを深ぼることに振り切っている。原作よりも大人びた印象が強いが、実際に映画の方がナズナに魅力は感じられた。
こんな感じですかね。私自身は世間で酷評されているように、映画化しない方が良かったとは全く思わない。原作を知らない人からすると、良いものに作り上げられていると感じた。ただ、ミステリー好き、伏線回収が楽しめる人間が作っている感は出ているので、「君の名は。」を想像して来た人には合わなかったのかもしれない。
※ネタバレあり『打ち上げ花火〜』感想・考察(映画:打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?)
今回は8/18(金)に公開されたばかりの映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を鑑賞してきた。ヒットを生み続けている川村元気さんプロデュースということで迷わず足を運んだ。原作は、多くの熱狂的ファンがいるそうだが、私は恥ずかしながら原作は未鑑賞。正直、事前に原作を見てから行くべきか迷っていた。しかし、昨年原作を知っていた「聲の形」を見た時に、『原作の再現度高いけど、新鮮さはあまりないなー。。。』と感じてしまった。そのため、今回は原作を後追いで見ることを決めた。
今回もSAVE THE CATに習ってログライン、ジャンル、脚本分解を行います。SAVE THE CATの記事はこちら。
一応、映画前の印象をまとめておく。
- アニメ化を担当するのは"物語"シリーズで有名な「シャフト」。
- 会社の特徴的に原作と形を変える可能性が高い。
- 原作と異なる展開になった時、原作を見ているとネガティブ要素が大きい。
- そういう意味でも原作は見ないでおこう。
- 絵のテイスト、色の鮮やかさ、アニメジャンル、公開時期、プロデューサーから"ポスト君の名は。"を目指していそう。
- また、原作も脚本も好きな方なので、楽しみ。
- ヒロインの声優が広瀬すずさんなので、声も楽しみ。
概要
夏休み、とある海辺の町。花火大会をまえに、
「打ち上げ花火は横からみたら丸いのか?平べったいのか?」
で盛り上がるクラスメイト。そんななか、典道が想いを寄せるなずなは母親の再婚が決まり転校することになった。
「かけおち、しよ」
なずなは典道を誘い、町から逃げ出そうとするのだが、母親に連れ戻されてしまう。それを見ているだけで助けられなかった典道。
「もしもあのとき俺が…」
なずなを救えなかった典道は、もどかしさからなずなが海で拾った不思議な玉を投げつける。すると、いつのまにか、連れ戻される前まで時間が巻き戻されていた…。何度も繰り返される一日の果てに、なずなと典道がたどり着く運命は?
予告はこちら。
総監督
シャフトの新房昭之さん。
原作
コアなファンが多い岩井俊二さん
脚本
※以下ネタバレを含みます。お気を付けください。
ログライン
「もしも、少年がもう一度あの日をやり直せたら。」
これは、予告編で散々推している部分。なので、間違いはなさそう。中学生=青春=戻れない日々。でも、やり直したいという純粋な皮肉。この段階では時をかける少女やオレンジに近い印象。
ジャンル
「金の羊毛」
概要:主人公は何かを求めて旅に出るが、最終的に発見するのは別のモノ(=自分自身)。主人公は旅の途中で人々と出会い、様々な経験を通して、成長する。
主人公は、ヒロインと今日1日だけで良いから一緒にいたいと願う。ただ、最終的なゴールは異なっているように思う。結末については下部で書こうと思う。
脚本の分解
1. オープニングイメージ
綺麗で自然豊かな町並み。海に面した町。田舎の男子中学生4人組が自転車とキックボード?で登校するシーンから始まる。始まりはルーのうたに似てる。
2. 開始5分のテーマ提示
登校中、主人公(典道)は海辺にいる女性(ヒロイン:ナズナ)に見とれる。ナズナはクラスメイト。ふとナズナが典道の方を見て目が合う。慌てて目をそらす典道。気弱な男主人公が憧れの女性を見つめている、という王道パターン。
また、ナズナは綺麗な球を拾う。この球がタイムリープに大きく関わることになる。その提示が行われている。
3. 開始10分のセットアップ
4. きっかけ(人生が変わるきっかけ)
そのプールで典道と祐介とナズナは50m水泳で競争することに。ナズナが「私が勝ったら何でも言うこと聞いてね。」と競争が始まる。この辺はギャルゲーっぽさが強いw結果は、1位ナズナ(水泳部)、2位祐介、3位典道。そして、ナズナが祐介を夜にある花火大会に誘う。「花火行くの?2人で行こうよ。5:00に迎えに行くから。」とナズナ。こんなこと言ってくれる美女は中々いないw
また、教室で打ち上げ花火は横から見ると丸く見えるのか、平べったく見えるのか?という賭けが行われる。
上記2つの出来事が本作の核心に大きく関わる。
5. 悩みの時
時刻は祐介とナズナが約束した5:00。 祐介は照れ隠しからか、典道に気を使ったのか、ナズナとの約束をすっぽかし、仲良い男メンバーで花火に向かってしまう。
一方、典道はプールで怪我した傷が大きく、祐介の家の病院に向かう。そこで1人寂しく待つナズナに会う。典道はナズナに祐介が来ないことを伝え、2人でナズナの家へ向かう。歩きながらナズナの話を聞く典道。どうやらナズナは典道を花火に誘おうとしていたようだ。
その後、ナズナの家の近くでナズナの母が現れる。そして、ナズナを無理矢理家に連れ戻す母。抵抗するナズナ。持っていた荷物と海で拾った球体は地面に転がる。その場に立ち尽くす典道。どうやら、母が再婚し今日引っ越してしまうらしい。
ナズナと一緒に花火を見たい。でも自分は勇気がなく何も出来なかった。これこそ悩みの時。
6. 第一ターニングポイント
ナズナが母に引っ張られる姿を祐介たちが偶然見かけ、あざ笑う。それを見た典道は怒り、祐介をぶん殴る。そして「もしもあの時、競争で自分が勝っていれば...」とナズナが海で拾った不思議な球を思いっきり投げる。
意見を言わなかった弱気な典道が、自分の意見を貫く。(祐介を殴る)そして、今まで見てみぬふりをしていた、自分の気持ちに素直になる。この2つが殻を破る第一歩。
7. サブプロット
この映画ではなかった。全体的に緊張感がある物語ではないことから削ったのか。サブプロットがないのは、かなり珍しいタイプだと思う。
8. お楽しみ
ターニングポイントの行動がトリガーとなり、タイムリープし、第二世界線(仮称)へ。プールで典道が勝った瞬間から始まる。ここから第一世界線のプール〜花火の一連の流れを繰り返す。ただし、様々な場面で言葉が少しずつ変わっている。
9. ミッドポイント
友達との約束をすっぽかし、ナズナと出かける典道。偶然それを見て、不機嫌になる祐介。ここから祐介は実は本気でナズナのことが好きだったと推測出来る。典道と祐介は電車に乗り、どこか遠くへ出かけようとする。しかし、電車が来る直前にナズナの母と再婚相手がやってきて、連れて行かれるナズナ。ここでもまた、典道は見ているだけで何も出来ない。ここでは典道はタイムリープの方法は分かっていない。
不思議な球を手に取り、友達と合流し、花火を見る。しかし、花火の形がおかしい。そこで典道は初めて世界線がおかしいということに気がつく。正しい世界線に戻るため、ナズナを助けるため、不思議な球を持ち「もしもあの時、ナズナと電車に乗れていれば」と強く思う。
10. 迫り来る悪い奴ら
無事第三世界線へ。今回はナズナが連れ去られる直前のホームから。前回の失敗を生かし、何とかナズナを連れ出し、電車に乗ることに成功。ただし、電車の外からナズナの母から、踏切で祐介から電車の中の2人が発見され、追いかけられる。絶対絶命シーン。そして、この世界の花火も形が変であったことから、正しい世界線でないことに気がつく典道。
2人だけの時間を過ごすため、正しい世界線に戻るため、再び不思議な球で第四世界線へ。
11. すべてを失って
ミッドポイントで絶不調だったので、絶好調状態へ。数々の困難を避け、無事に2人だけの時間へ。
しかし、世界は明らかにおかしい。歪んでいる風景。海の上を走る電車。
そこから2人は電車を出て、海岸へ。ここからラストシーンへ。
12. 心の暗闇
海に入った2人はお互いに自分の気持ちを解放し、キスをする。
13. 第二ターニングポイント
一方で、酔っぱらいの花火師が不思議な球を花火だと思い、燃やしてしまう。不思議な球の破片には、ifの世界の記憶(つまり、経験していないシーン)が溢れていた。
恐らく、ここで現実と異世界の境目が崩壊している。が、そんなことはあくまでも予想でしかなく、このあたりは「よく分からないが美しくノスタルジックなシーンを見つめている」時間になっていく。
14. フィナーレ
ifの世界の記憶で、ナズナが「次はいつ会えるかな?」と言って姿を消す。ナズナはタイムリープのことを知っていたのか??そこは不明。
15. ファイナルイメージ
最終シーン。恐らく夏休みが終わった教室。そこにはナズナの姿も典道の姿もない。ここに対する意見も別れており、話題になっている。
感想
GOODポイント
実際にインタビューなどで監督も言っているが、ナズナのつかめない人間性。ここが個人的な女性の趣味とマッチしたw中学生とは思えない大人びたナズナ。何を考えているかつかめないナズナ。しかし、中学生らしいピュアな一面も見える。例えるなら、ラブプラスのりんこちゃんのような不思議な子。自分を持っていて、どこか闇を抱えているような一匹狼タイプ。男の人は結構好きなはず。
2. とにかく「雰囲気」が良い。
綺麗な風景。化け物の子やサマーウォーズのようにマス受けしそうなグラフィック。見入ってしまうタイムリープのオシャレな演出。クライマックスの美しい演出。ノスタルジックな雰囲気を醸し出すテーマ曲"打ち上げ花火"。これは見ているだけで"何となく良い"と思える。
3. 単なるタイムリープで終わらせない展開。
タイムリープのアニメといえば、時をかける少女、シュタインズゲート、君の名は。などがある。特に「君の名。」以降はタイムリープ系の作品が乱立したように感じる。そして、タイムリープものはどうしても"答え探しモノ"似通ってしまう特徴があるように思う。これはゲームも同じで、タイムリープモノは"数ある選択肢の中から1つ(〜複数)の正解を探す展開になりやすい。しかし、本作はそのタイムリープへのアンチテーゼのように感じた。個人的には、「どんな未来も正解である」というメッセージを受け取った。単なるタイムリープモノで終わらせない良い挑戦だと思った。
イマイチポイント
1. ラストの曖昧さ
良いところでもあるが、「ラストシーンが曖昧」で多くの人が理解できなそう。これが本作で酷評を受けているのだと思う。実際、ラストのストーリーは複雑且つ明言を避けているので、私もちょっともやもやした部分はある。
でも言いたい。
「そんなに分かりやすく正解が提示されるモノしか楽しめないの?」
と。
マスに受けないのは分かる。ただ、そのマスの意見で酷評フィルタをかけている人も多いように感じる。実際、私は、作り手からのメッセージや本当の結末を想像することで楽しめた部分はあった。
- 「どの世界にも正解なんてない。どんな未来も正解である」というメッセージ?
- 実は典道もナズナもタイムリープを何度も繰り返している存在で作品のメッセージはない?
- 実は、典道とナズナはもっと幼い時に仲良くなっていた。しかし、本作の序盤の世界線では異なる世界線にいた?
など、見た人と語り合える要素はたくさんある。
2. 展開が読めないドキドキが少ない
作品の面白さの一つに「展開が読めないドキドキ」は存在する。正直本作はそのドキドキ感はなかった。というより、「え?なんで?」という斜め上をいく展開が多く、先が予想出来なすぎたのかもしれない。
という感じですかね。今から原作を見てみようと思います。
おすすめ度
3.9 / 5
髑髏城の七人を見て舞台熱が高まった。直近行ってみる舞台。
先週髑髏城の七人を見てから舞台を見たい欲が高まっている。そんな感情にさせる劇団☆新感線は本当に素晴らしい。以前も書いた通り、髑髏城の七人「風」「月」はもちろん見に行くわけだが、今後見に行く予定の舞台・ミュージカル類を紹介する。
フエルサ・ブルータ 「WA!」
『常識と重力を凌駕する...』
HPもコピーも秀逸。髑髏城の七人に行った際の広告で唯一目に止まった。広告、HPから溢れるオシャレ感や「体験型」という目を引くワードから「今までとは違った体験が出来るかも?」と過度に期待する自分がいる。調べる限り、生で感じる迫力があると思う。それはパフォーマンスとの距離かもしれないし、立ち見席というフェス的体感なのかもしれない。
動画でだいたいの雰囲気は理解出来るが、体験型のエンタメは、実際に行くことに価値があると思っている。だから、実際に行ってみようと思う。
フエルサ ブルータ (FUERZA BRUTA) オフィシャルサイト - 東京
ロッキー・ホラー・ショー
キャスト:古田新太さん
この名前だけで行くと決める人は多いのではないか。漏れなく私もそのタイプだ。詳細は正直分からないが、こちらもフエルサ・ブルータ同様体感型なので、まず行ってみようと思う。
髑髏城の七人〜鳥〜
やっと髑髏城の七人を見てきたので、感想を。
表現力が圧巻。
客席が回転しながら、周囲を取り囲む360度の舞台で物語が展開する。
詳細はこちら。
今までの舞台は、場面転換が表現しにくかった。しかし、ここでは場面転換がむしろ想像を掻き立てる仕組みになっている。その理由は360度の舞台だけではない。プロジェクションマッピングだ。それも舞台の手前に開閉式の大きなスクリーン。全面をプロジェクションマッピングにすることで、城を昇っている状態にも没入感があった。また、真ん中が舞台で両端がスクリーンの構図では、火事のシーンの臨場感が圧倒的に増す。劇団☆新感線と本会場の組合せは、いい事づくしでしかない。
七年毎に進化を遂げる髑髏城の七人。
1990年の初公演から7年ごとにテーマ、キャスト、ストーリー展開、演出を変えて進化を遂げてきた髑髏城の七人。私は2011年の通称「ワカドクロ」を観劇しただけだが、そこからの進化も驚くほどである。キャラクター性や根幹の物語は残しつつも、たっぷり味わえる新鮮さ。もちろん初めての方でも最高に楽しめる。もうあっぱれの一言でしかない。
笑いあり、涙ありの展開
早乙女太一さんの圧倒的な迫力の殺陣。日本トップレベルと語る人も多くいる。そして、随所に挟まれるセンスの良い笑いで全く飽きない。アドリブでの笑いも多かった。そして、最後の展開では深い人間ドラマも含んでいるため、涙する人も多い。こんな感情のジェットコースターを体験出来るのが髑髏城の七人である。
全部で4種類の「花・鳥・風・月」。全部見たい!
正直、見る前は早乙女太一さん×森山未來さんの「鳥」だけ見に行けば良いと思っていた。でもそんなの無理だ。これは全部見たい。パンフレットによると、「花」は2011年ワカドクロの正統進化、「鳥」はミュージカル要素に振り切ったと書かれていた。そう聞くと、風は?月は?と気になるし、何より花に行かなかったことが悔やまれる。
エンタメビジネスのノウハウが詰まっている!
7年毎のリメイク。1年かけて異なる種類の舞台を表現して、リピーターを増やすモデル。最新技術による没入感。種類豊富で単価が高い物販。日本最高峰の殺陣による表現。エンタメ関係者には是非見てほしい。